遺産分割の基礎知識

遺産分割は、故人の残された財産の配分を協議する第一歩の手続きです。各相続人との話し合いがうまくいっても不動産の名義書換や銀行の預貯金の手続きなど慣れない手続きが多く大変手間がかかります。

自由が丘司法書士事務所では、相続に詳しい専門家が対応することで、相続人の皆様のリスクやご負担を減らし、円満で円滑な相続手続きを実現いたします。

遺産分割

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、故人が残した資産、遺産(負債も含む)を分けるために、共同相続人全員で行う話し合いのことです。

遺産分割協議は、当事者間の合意の形式ですので書面の作成は法律上要求されていませんが、どのような合意が成立したかを書面で明らかにして、かつ、後日の紛争を防止するため、相続人全員の実印を押印し、印鑑証明書を備えつけて置く事が一般的です。

ただし、必ずしも相続人全員が一堂に会する必要はなく、電話での合意、協議書は郵送など持ち回りで完成させることも可能です。

遺産分割協議をする場合とは

遺産分割協議を行うケースとは何か?

一般的な遺産分割協議が必要とされる場合をご紹介いたします。

  • 1.故人の遺言書が存在しない
  • 2.法定相続分以外の按分で相続したい場合
  • 3.相続人全員が協議に参加でき、内容に同意している場合

以上3つの要件が揃った場合に遺産分割協議が必要(可能)となります。
従って、遺言書が存在し、相続分が指定されている場合は、遺言書の内容が優先されますし、相続人である妻子二人が法廷相続に添って半分づつ取得する場合などは遺産分割協議をする必要性がありません。
逆に、遺言書が見当たらず、相続人全員で不動産や預貯金を自由に分配したい場合などは、遺産分割協議を行って各相続人の相続財産を決定することになります。

遺産分割の種類

遺産分割の方法は大きく分けて4種類の方法があります。
ここでは、具体的な方法をご紹介いたします。

1現物分割

1人または一部の相続人が、遺産を相続する代わりに、それを取得しない他の相続人に代償となる金銭を支払う方法です。

(例)A不動産の土地・建物を長男が相続する。その代わり長男は、弟・妹に金○○○万を代償するといった方法です。

2代償分割

遺産分割の一般的な分割方法で、故人が残した遺産の一つ一つを誰が相続するかを決める分割方法です。

(例)自宅不動産の土地・建物と郵便貯金は妻が相続し、A銀行・B銀行の預貯金は長男が相続するなど、個別・具体的に決めていく方法です。

3換価分割

全ての遺産が上手く均等に分割できるとは限りません。その場合、遺産を売却し、金銭に換えて、その金銭を各々の相続人に分配する方法です。

(例)故人の自宅だった不動産を売却して、売却代金を相続人で分配するといった方法です。

4共有分割

各相続人の持分を定めて、故人の遺産を共有名義で分配する方法です。

(例)故人の自宅不動産を妻が半分、長男が半分づつ共有名義で相続するといった方法です。

遺産分割協議の対象財産

遺産分割の対象となるプラス財産

土地、家屋、借地権、借家権、現金、預貯金、有価証券、債券、金銭債権、家財、自動車、貴金属、書画骨董、美術品、収集品、ゴルフ会員権、特許権、著作権など

遺産分割の対象となるマイナス財産

借金、売掛金、借入金、住宅ローン、未払いの月賦、税金、家賃、地代、医療費など

遺産分割協議の注意点

遺産分割協議の前提(成立)となる上での注意点をご紹介いたします。

相続人全員の承諾が必要

遺産分割協議は、相続人全員が協議内容に同意しなければなりません。
従って、相続人が一人でも欠けたり、行方不明となっている場合は、遺産分割協議は成立しません。

尚、相続人の中で反対者がいる場合は、他の相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。

遺産分割の調停手続き

相続人には判断能力が必要

遺産分割協議は大切な遺産の分配を協議する内容ですので、相続人全員につき判断能力が必要となります。

例えば、相続人の中に判断能力の不十分な方(認知症・知的障害者等)がいる場合は、その方の代わりに成年後見人などを人選した上でなければ、遺産分割協議は無効になります。

成年後見人の選任手続き

相続人の中に未成年者がいる場合

未成年の子どもは、通常、その親が法定代理人となりますが、遺産分割協議をする場合は、ほとんどの場合その親も共同相続人であるため、親権者の行為が法律上、利益相反行為とみなされ、子どものために、家庭裁判所に対し、特別代理人の選任を求める必要があります。

特別代理人の選任手続き